2023年8月1日火曜日

講義で心がけていること New!

 こんにちは。講師の平野です。本日は自分が講義で心がけていることを少し。

OSTECの英訳セミナーでは、時間のある限り、すべての解答を添削します。はっきり言って、講義としては効率が悪いです(笑)。毎回、4時間半に収めるために必死です。会場の貸し時間ギリギリになることも多いですから、幹事さんも毎回ヒヤヒヤですよね。

効率重視なら、模範解答だけ提示して、その解説だけすればよいでしょう。計画的に時間配分ができますし、課題全体を広範囲に解説し、整った印象の講義になるはずです。

でもね、それじゃつまんないんですよ(笑)。正解の丸暗記に意味はない、と私は思っています。

大事なのは、自力でできるようになることではないでしょうか。正解を知るだけでなく、そこに至るまでの筋道が見えなければいけないはず。あるいは、模範解答とアプローチが違っても、自分の解答が今より少しでも良くなる筋道が見えた方がいいはず。そのために、解説の起点は個々の解答にしたいのです。

個々の解答をみながら、どんな意図でその表現を選んだのか、講師から解答者に聞くことも多いです。なぜそうなったかを確認し、いい表現であれば活かし、改善できる点があれば修正する。それは、個人の解答と模範解答との橋渡しを試みる上で、必要なプロセスです。そうすることで、まだ橋を最後まで渡り切る自信のない人にも、階段の最初の何段かを明確に示すことができるでしょう。

そして、どんな解答も全員の糧にするのが、講師の役目。例えば、上級者の光る表現は、どうすれば真似できるようになるかを初級者に示す。初歩的な間違いがあれば、その間違いをしないことの意義や、上級者がしがちな類似の間違いも示す。個々の解答を議論の触媒として、有益な知識を共有したいと考えています。

いい解答はもちろん褒めますが、研究会なんですから、安心して間違った解答を書いてください。講義中にもよく言いますが、わざと間違うぐらいでもいいのです。実際、毎回わざと問題ありそうな表現を混ぜて、講師にしっかり解説させるベテランさんもいらっしゃいますよね (笑)。

いつまでも、初級者に優しく上級者も楽しい、誰もが安心して議論に参加できるOSTECであってほしいと思っています。